脾臓は、左上腹部の背側よりにある握りこぶしを薄くしたほどの臓器であり、ここでは老化した赤血球が破壊される。脾臓に血液を送る脾動脈は、大動脈の枝の腹腔動脈から分かれる。脾臓の静脈血は脾静脈から門脈を通って肝臓に流れ込む。脾臓の組織の大半は赤脾髄と呼ばれ、赤血球を満たした静脈洞で占められ、残りの白脾髄はリンパ組織よりなる。硬くなったり形の変わった赤血球は、脾臓内の細い動脈を通り抜ける際に機械的に壊れたり、マクロファージに処理される。赤血球内のヘモグロビンは代謝されてビリルビンになり、門脈を通って肝臓に運ばれ、そこから胆汁として排出される。白脾髄にはリンパ球が常駐し、血液中の抗原を捕捉し、抗体産生を行う。さらに胎児期には、造血も行われる。しかしこれらの機能は直接に生命維持に不可欠ではなく、手術により摘出することができる。