興奮性細胞の1カ所で起こった活動電位は、同じ細胞の中で膜全体に広がっていく。この現象を興奮伝導といい、細胞と細胞の間での伝達(transmission)から区別する。神経線維の興奮伝導速度は線維が太いほど速く、また同じ太さでは有髄線維の方が無髄線維より速い。有髄線維では髄鞘が節状に軸索を取り巻いて絶縁しており、活動電位は髄鞘の隙間の部分(ランビエの絞輪)に限って生じる。そのため活動電位が絞輪部を跳躍するように進むので、伝導速度が速くなる。人体の末梢神経では、運動神経や知覚神経ですばやい反応を要求されるものは有髄線維である。そのうちもっとも太いものの伝導速度は毎秒100メートルに及ぶ。無髄線維は自律神経などにみられ、伝導速度は遅く、毎秒1メートルほどである。