大脳新皮質のうち、運動野や感覚野の間に広がる広い領域を連合野といい、感覚と運動の連絡や統合を行っている。連合野の中でも、左の前頭葉で一次運動野の下方にはブローカ野(Broca area)とよばれる運動性言語中枢がある。ここが障害されると、話や文字は理解できても自発的に話せなくなる。左側頭葉で聴覚野の後上方にはウェルニッケ野(Wernicke area)とよばれる聴覚性言語中枢がある。ここが障害されると、聴覚は正常でも、話す言葉、書かれた文字の意味が分からなくなる。さらにその後上方の領域が障害されると、失読や書字不能が起こる。しかしこの部位が読み書きの中枢というわけではない。文字を読んだり書いたりは、ウェルニッケ野とこれらの領域が協力して行う機能と考えられる。言語能力の障害にはさまざまの種類があるが、一括して失語症(aphasia)とよばれる。