眼の遠近は、毛様体の中にある平滑筋の収縮によって調節される。毛様体の平滑筋は副交感神経に支配されており、この刺激により平滑筋が収縮すると、毛様体が内方に突出し、水晶体を外方に引っ張る力が弱まって、水晶体は自分の弾性によって前後の厚さを増し、視点が近方に移動する。逆に平滑筋が弛緩すると、視点は遠方に移動する。遠近を調節する力は、小児で大きいが、年齢とともに水晶体が固くなって弾力性を失い、調節力が小さくなる。この調節障害は老眼 (prebyopia) とよばれ、中年以後に発生する。老齢になると多少とも水晶体の透明度が下がり、さらには水晶体が白濁して白内障 (cataracta) となることがある。このような時には、水晶体を摘出して視力を回復することができる。