音を感じる蝸牛は、先細りの管が2回半渦巻き状に巻いた構造である。蝸牛の管の上半分は前庭階、下半分は鼓室階で、両者の間に蝸牛管がくさび状に挟まっている。蝸牛管と鼓室階との間には、ラセン膜という強靱な膜があり、その上に感覚細胞を備えたラセン器が載っている。音の振動は、前庭階を上って渦巻きの先端に達し、そこから鼓室階を下る。その通過の間に、音の周波数に合わせてラセン膜にとくに振動の激しい部位ができ、感覚細胞が刺激される。音の1秒当たりの振動数を、ヘルツ(Hz)という単位で表す。振動数が多いほど音が高い。人間の耳は、20ヘルツから2万ヘルツくらいまでが聞こえる。人の話し声あたりの200ヘルツから4000ヘルツくらいには敏感で、同じエネルギーの音波でも強く感じる。