低血圧や貧血などによる単なるたちくらみを、めまいとして訴えることがよくあるが、本当のめまいは内耳や中枢の障害によるもので、身体が回転するような感覚を伴うことで区別できる。内耳の障害によって起こるめまいで有名なものは、初老期の人に多いメニエール病である。これはめまいと難聴と耳鳴りの発作を反復する病気で、膜迷路に原因があるが、その成因はまだ不明である。利尿剤や血管拡張剤などの内科的治療が成功する場合もあるが、外科的に神経や内耳を破壊してめまいを抑える場合もある。小脳などの腫瘍で、内耳神経が圧迫されて難聴とともにめまいを起こすことや、小脳に行く動脈が閉塞してめまいを起こすことなどが知られており、めまいは中枢の疾患を診断する手掛かりにもなる。