臭いを感じる嗅細胞 (olfactory cell) は嗅上皮の中にある。ヒトの鼻腔は、左右の側壁から出た鼻甲介によって上鼻道、中鼻道、下鼻道に分けられ、さらにその上方に、嗅粘膜の領域が広がっている。ヒトの嗅粘膜は約10平方センチの広さがあり黄褐色をしているので、鼻腔の他の部分を覆う呼吸上皮から区別される。嗅細胞は、支持細胞に挟まれて上皮の中に孤立して存在する。嗅細胞の鼻腔に向かう突起からは十数本の特殊な線毛が出ており、基底部からは一本の軸索突起が出て中枢に向かう。嗅上皮にはボウマン腺があり、嗅上皮の表面を覆う粘液を分泌する。嗅神経は嗅細胞の軸索が集まってできた約20本の神経線維束からなる。嗅神経は篩骨(しこつ)に開いたいくつもの孔を通って頭蓋腔に入り、脳から突き出た左右の嗅索の先端の嗅球に達する。