味覚の受容器は、口腔の粘膜上皮内にあって蕾(つぼみ)の形をしているので、味蕾(みらい)と呼ばれる。舌の表面には4種類の乳頭があるが、そのうち味蕾が集中するのは、舌の前方にある茸状乳頭、舌の側面にある葉状乳頭、舌体と舌根を境する有郭乳頭である。ヒトの舌にある味蕾は2000~3000個で、その約半数が有郭乳頭にある。味蕾は高さ70ミクロン、幅は約40ミクロンほどで、内部に3種類の細胞が区別できるが、どれが味覚を感知する細胞であるかを同定するのは難しい。舌の前3分の2の感覚を支配するのは三叉神経の枝の舌神経だが、この部の味覚を支配する神経線維は、舌神経の途中から鼓索神経となって分かれて中耳の中を通り、顔面神経から中枢に入る。味覚の障害は顔面神経の障害部位を判定する手掛かりとして用いられる。舌の奥3分の1の感覚は舌咽神経によって支配されている。