皮膚の温度の感覚は、摂氏24~35度の範囲では温度そのものではなく、温度の変化を感知している。それ以上あるいは以下では、温度変化がなくても温かさや冷たさを感じ、さらに45度以上や15度以下では、痛みの感覚が伴う。温・冷覚を感じる温点や冷点は、触・圧点に比べてはるかに少ない。皮膚の痛みは表在痛といい、関節や筋から生じる深部痛、内臓に由来する内臓痛から区別する。表在痛には、早く出現し持続の短い速い痛みと、遅く出現し持続の長い遅い痛みがあるが、後者の方が刺激部位から広がる傾向がある。痛覚の鋭敏な痛点は、触・圧点よりも数が多く、また触・圧点とは逆に手のひらよりも前腕、大腿などで密度が高い。かゆみは、痛覚麻酔をすると消失するので、弱い痛覚刺激だと考えられる。温度および痛みは特殊化した受容器構造ではなく、自由神経終末が感知すると考えられている。これらの感覚を伝える軸索は、脊髄後根から脊髄に入り側索を上行して視床に至る。視床からは、他の感覚刺激と同様に大脳皮質の一次体性感覚野に情報が送られる。