卵巣から放出された卵子は、卵管の中を進む間に精子と出会い、その中の一つと受精する。受精した卵すなわち胚(はい)は卵割と呼ばれる速やかな細胞分裂を開始し、卵管をさらに進む。胚は分裂を繰り返し、やがて桑実胚という、表面から見ると小さな割球に分割されたような状態になる。ここまでの卵割の過程では、胚は割球の数を増すだけで、全体の大きさは変わらない。さらに割球の数が増すと、胚の内部に液体が蓄えられて、やがて大きな内腔を外壁の細胞層がとり囲む胞胚となる。胚は、この頃に子宮にたどりつき粘膜に着床する。胞胚は、壁の大部分が外細胞塊という1層の細胞層で覆われ、壁の一部に細胞が集まって内細胞塊を作る。内細胞塊はやがて胎児そのものに変化していく部分であり、外細胞塊は子宮壁との間で胎盤を作ったりする栄養膜となる。