男性の精巣(睾丸 testis)と女性の卵巣 (ovary) は、次の世代の個体を作るための生殖細胞を生み出す器官であり、合わせて性腺 (gonad) とよばれ、中腎の近傍で腹腔に盛り上がる生殖堤 (genital ridge) の中間中胚葉から生じる。しかし精子や卵子を作るべき始源生殖細胞 (primordial germ cell) は、卵黄嚢の後壁あたりに由来し、そこから移動して性腺原基の中に侵入する。精巣に入った生殖細胞は、精細管の上皮内の精祖細胞となり、思春期になると分裂を繰り返して、次々と新しい精子を作り出すようになる。卵巣に入った生殖細胞は、分裂して卵母細胞になり、卵胞の中に収まる。精巣から精子を運び出す経路は、精巣から複数の精巣輸出管となって出るが、精巣上体管から精管となって尿道までは、1本の管である。この経路のうち、精巣輸出管は、中腎の尿細管から由来し、精巣上体から精管の1本道は、ウォルフ管に由来する。卵子は、卵巣からいったん腹腔内に放出され、そこで卵管 (uterine tube) の入り口に取り込まれて子宮 (uterus) に向かう。子宮は膣 (vagina) を通じて外陰部に開く。卵管、子宮、膣の上部は、1対のミュラー管が正中線上で融合して生じる。