動脈系の主要な部分は、心臓から出て消化管の腹側を上行する1本の腹側大動脈、消化管の背側の2本の背側大動脈、そして消化管の両側で両大動脈をつなぐ鰓弓(さいきゅう)動脈から発生する。鰓弓動脈は頭方の第1から順に第六まで生じる。第1、第2鰓弓動脈は消失する。第3鰓弓動脈とそれより頭方の背側大動脈は、頭部に血液を送る内頸動脈の基部になる。第4鰓弓動脈とそれより下方の背側大動脈は、左のものが大動脈弓から下行大動脈として使われ、右のものは鎖骨下動脈になる。第5鰓弓動脈は痕跡的なまま消失する。第6鰓弓動脈は左だけが肺動脈の基部および肺動脈と大動脈をつなぐ動脈管となる。動脈管は胎生期における右心から左心へのバイパス路の一つであり、出生後しばらくして閉鎖し、動脈管索となる。動脈管が閉鎖しない動脈管開存症に対しては、外科的な手術が行われる。