細胞の表面は1層の細胞膜によって囲まれて、内部の細胞質と細胞外の間を区別している。細胞内には、細胞の活動を行うためのミトコンドリアや小胞体などの小器官があり、それらを作る膜も、基本的には同じもので、あわせて生体膜とよばれる。生体膜は、リン脂質やコレステロールなどの極性をもった脂質からできており、水やイオンを通しにくい。細胞の生存のために、外から細胞内に物質を取り込んだり、外に物質を放出する仕事は、能動輸送の働きをもつポンプや、受動輸送の働きをもつチャネルやトランスポーターのたんぱく質が、細胞膜の中に埋め込まれて行っている。また神経伝達物質やホルモンなどによる外からの情報を受け取って、細胞内に伝える受容体のたんぱく質も、細胞膜に埋め込まれている。細胞膜の脂質やたんぱく質は、細胞外に向かう側に糖を多くくっつけているので、細胞膜の表面には糖衣(glycocalyx)という覆いができている。電子顕微鏡で見ると、生体膜は厚さ約8~10ナノメートルで暗明暗の一様な3重層に見える。