男性の生殖器は、精子を生み出す精巣(睾丸 ; testis)と、その精子を体外に運び出す輸精路からなる。精巣は陰嚢の中にあり、重さ10グラム強の楕円球状で、表面は結合組織の強い被膜で包まれている。精巣の上面には、精巣上体(副睾丸)があり、精子は、精巣からこの中の管、さらに精管、射精管を通り、前立腺のところで尿道に出される。男性の尿道は、陰茎を貫通するために、女性に比べて長い。陰茎の内部には、海綿体があり、これが血液で充満すると、陰茎が勃起する。精巣で作られた精子は、初めまったく運動しないが、精巣上体や精管を通る間に、遊泳と受精の能力を獲得する。精巣上体、精管、精嚢および前立腺と球尿道腺は、分泌液を出し、これと精子が合わさって、精液 (semen) となる。精神的および触覚などによる刺激によって、副交感神経の興奮が精巣や輸精路に伝えられると、この部の平滑筋が収縮して、精液を尿道に送り出す。尿道の後部が精液で満たされると、陰部神経を介する反射によって会陰部の筋が収縮し、精液を尿道から押し出す。これが射精 (ejaculation) である。