老化は、生殖期以後に、身体の生理的機能が低下ないし衰退する現象である。老化は全身のさまざまな部分に現れてくる。スポーツの運動能力は、競技種目によるがおおむね20歳代でピークを迎える。知的な能力は、経験の積み重ねにより増大していく部分もあるが、記憶力や計算能力といった部分だけを取り出せば、老化の始まるのは早い。また環境変化に対する適応力や抵抗力も弱まる。たとえば体温を調節する能力や、体液の酸塩基平衡を調節する能力が低下し、細菌などの感染に対する防御力や、外傷に対する修復力も低下する。老人は若年の時よりも体重が減少するが、おもに細胞内に含まれる水分量が減少するためである。老人の顔にしわが多いのは、皮下の脂肪が減少するのと、細胞内水分が減少して上皮細胞が縮小するのが大きな理由である。