免疫系は、自己の抗原に対しては寛容で、外来の抗原に対してのみ反応するように制御されている。しかし年齢が進むとともにこの制御系は崩れる傾向がある。そのため外来の抗原に対する抗体産生能が低下して、感染症を起こしやすくなり、自己抗体の産生が行われ、リウマチなどの自己免疫疾患が起こりやすくなる。外来抗原に特異的な抗体を産生するためには、貪食細胞、ヘルパーT細胞、B細胞の三者の協力が必要である。加齢によってもこれらの細胞の数はあまり変化しないが、ヘルパーT細胞の活性が下がり、B細胞からの抗体産生量は増す。またT細胞を成熟させる胸腺は、新生児期に最大で、年齢とともに縮小し、脂肪に置き換えられていく。またキラーT細胞による細胞性免疫の能力も年齢とともに低下する。高齢者になってがんなどの悪性腫瘍の発生が増えるのは、この細胞性免疫能の低下による。