脊椎神経から出て、下肢に向かう神経叢(しんけいそう)。第12胸神経~第4腰神経の5本の前枝がつながって骨盤の前方に腰神経叢を作り、第4腰神経~第5仙骨神経の7本の前枝がつながって骨盤の後方に出て行く仙骨神経叢を作り、両者から分かれて下肢の筋肉と皮膚に分布する。腰神経叢の最大の枝である大腿神経は、鼡径部(そけいぶ)の前面を通って、大腿四頭筋など大腿前面の伸筋群に分布する。閉鎖神経は、大腿内側面の内転筋群に分布する。仙骨神経叢からの坐骨神経は人体最大の神経で、骨盤の後面の大坐骨孔から外に出て、大殿筋の下方に現れ、大腿後面を下りながら大腿の屈筋群に枝を出し、膝の高さで脛骨(けいこつ)神経と総腓骨(そうひこつ)神経に分かれる。脛骨神経は下腿の後面の屈筋群と足底の筋に分布し、総腓骨神経は下腿前面の伸筋群と外側面の腓骨筋群に分布する。坐骨神経とその枝は、走行が長く、経路の途中で狭い部分がいくつかあるために、圧迫されて坐骨神経痛を起こしやすい。仙骨神経叢からの枝は、殿部の筋にも分布する。