血液に含まれるたんぱく質で、インスリンの働きを高めるホルモンとしての働きを持つ。ただし、血中濃度は一般的なホルモンに比べて桁違いに多い。インスリンの感受性を上げ、脂肪酸の分解を促進し、動脈硬化を抑制するなど、メタボリックシンドロームを抑制する作用が注目されている。アディポネクチンは脂肪細胞で作られ、血液中に分泌されるが、体脂肪量が増えると血中濃度が反比例して減少する。このことから、小型の脂肪細胞はアディポネクチンを活発に分泌するが、肥大した脂肪細胞では分泌が減少すると考えられている。肥満になると、脂肪細胞が肥大してアディポネクチンの分泌が低下し、インスリンの感受性を低下させ、糖尿病を悪化させることになる。アディポネクチンのシグナルを、細胞内に伝える受容体がいくつか見つかっている。これらの受容体を薬で活性化できれば、糖尿病が改善すると期待されることから、新しい薬剤を開発する研究が進んでいる。