一般市民が主体的に医療にかかわるための知識やノウハウの内容、または、それを得るための教育機会をさして用いられている言葉。「患者中心の医療」「インフォームドコンセント」「患者の権利」などの考え方が、医療の現場に浸透し、患者が医療に主体的にかかわることが求められてきている。そのような中で、患者同士の情報交換の場から、専門的な医学知識を、市民向けに分かりやすく提供する機会なども、多く見られるようになってきた。しかし、患者学のあり方は、その企画母体の違いで微妙に異なっている。およそ次の3つにわけることができよう。(1)従来からの患者教育の延長で、病気についての啓発活動、生活指導など医療者主体で行うもの、(2)患者同士の情報交換や、現在の医療に疑問を持った患者が、自主的に情報収集や学習を行い、また協力的な医療者から診察、検査、薬剤などの専門的知識を学ぶ活動、(3)大学などが研究成果の社会的還元、専門家の社会的貢献の要請や、人材育成の研究資金の獲得などによって行われる、一般市民向けの公開講座、などである。ちなみに、近年は(3)が顕著になっている。