近年、主に日本の公立病院、大学病院において深刻化している問題。医師不足の要因は、2004年から導入された、新研修医制度によるところが大きいとされる。すなわち地方の公立病院をはじめとする大学病院からの医師派遣の中止、医師の大都市への集中化、産科・小児科の専門医の恒常的不足などの以前からの問題が、限界を超えて露呈してきたものと考えられている。一方、看護師については11年現在、全国で5万人程度の不足が指摘されている。その理由として、看護業務の過重傾向や、医療事故に対する不安からくる離職者の増加がある。また、06年の診療報酬改定で、看護師を手厚く配置する医療施設には診療報酬が上乗せされるようになったことから、偏在の傾向も生まれたと考えられている。いずれにせよ現在の医療制度の中では、医療従事者の労働環境の悪化は深刻化し医療崩壊の危機とまでいわれていることから、制度的にも根本的な改革が迫られている。