重い遺伝病の一つであるミトコンドリア病の予防を目的に、その病気を持つ母親の卵子から核だけを取り出し、第三者の卵子に移植して受精卵を作る技術。このように、病気の遺伝子が含まれれる細胞内小器官のミトコンドリアを受精卵から排除することで、子どもへの遺伝を防ぐ。2015年2月、イギリスで卵子核移植の導入を認める「ヒトの受精と胎生学法」の改正法が成立した。イギリス国内には、ミトコンドリア病を持つ子どもを産む可能性のある人が約2500人いるといわれている。卵子核移植には、(1)健康な第三者の未受精卵に有病者の未受精卵の核を移植する方法、(2)健康な第三者の受精卵の核を有病者の受精卵の核と交換する方法の2つがある。しかし、ミトコンドリアには他の様々な遺伝子も存在し、この技術で生まれた子どもは父親、母親、卵子の提供者という3人の親の遺伝子を引き継ぐことになる。また、卵子核の移植の際に、病気の遺伝子を含んだミトコンドリアが混入してしまう危険性も考えられるなどの問題点が指摘されている。