医療死亡事故を起こした医療機関が、内部に委員会を設置して調査を行い、遺族や第三者機関の医療事故調査・支援センターに報告する制度。1999年に横浜市立大学医学部附属病院で起きた手術患者の取り違え、東京都立広尾病院での点滴薬誤投与による死亡事故など、相次ぐ医療事故に対し再発防止と安全対策が求められてきた。そうした背景から、2014年に「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」(医療・介護総合確保推進法)が成立し、医療事故調査制度が作られた。当制度は15年10月に施行されたが、調査対象は「同年10月1日以降に起きた予期せぬ死亡事故」に限られ、それ以前の事故は除外された。また、事故が起きても医療機関が「予期できた」と判断すれば調査されない、医療機関が調査しない死亡事故については遺族が第三者機関に調査を求めることができないなど、問題点も指摘されている。