人または人から採取した試料を対象に、医学や生命科学・健康科学などの研究を行うための指針。正式名称を「人を対象にする医学系研究に関する倫理指針」といい、2014年12月に厚生労働省と文部科学省が告示した。人または人から採取した試料を対象とした研究では、世界医師会が第二次世界大戦で得た反省から人体実験に関する倫理的原則を定めた「ヘルシンキ宣言」(1964年採択)をもとに、日本でも「疫学研究に関する倫理指針」(2007年)、「臨床研究指針」(08年)などが策定されてきた。しかし、近年の研究の多様化や各指針の適用先不明確問題、また度重なる不正事案の発生などを受けて、文部科学省と厚生労働省が従来の指針を再編した。新たに告示した統合倫理指針では、研究に対する倫理的配慮とともに、前提として研究の科学的合理性の確保を求め、また研究にともなうリスクに対する考え方を世界的基準に合わせること、これまで不十分とされていた社会的弱者への配慮、などを示している。本指針は15年4月1日から施行されている。