ウイルスとは、次のように規定される。(1)大きさがきわめて小さく18~300ナノメートル( 1ナノメートルは10億分の1メートル)、その姿を観察するには電子顕微鏡が必要。(2)自己複製の設計図となる核酸とそれをとりまくたんぱく質からなる。核酸はRNAかDNAのいずれか一方のみ。(3)その増殖には生きた細胞が必要。(4)細胞内で増殖する際にいったんばらばらになり、その姿が観察されなくなる時期(暗黒期)がある。ウイルスには外膜(エンベロープ)をもつものとそうでないものがある。ウイルスは特異的なレセプターに結合(吸着)した後、細胞に侵入、ばらばらに解体される。これを脱殻とよぶ。そして、ウイルス遺伝子の転写により核酸の合成と細胞のリボソームを利用したウイルスたんぱくの合成を行った後、それらの素材が巧妙に組み立てられて成熟粒子を作る。その際、1個の細胞の中で数個から数百個にも及ぶ子孫ウイルスが産生されることになる。1個の細胞が2分裂で増える細菌との決定的な違いである。