ニューモシスティス・カリニ(pneumocystis carinii)はありふれた病原体で、小児期に不顕性感染を受けており、これを原因とする肺炎の発病(症)は免疫能の低下による潜在感染の顕在化と考えられる。日和見感染の中でもっとも多く、予防対策を講じなければ、HIV感染者の60~70%に出現する。HIV陽性者にカリニ肺炎の発症をみた場合にはエイズと診断される。初発症状は体動時の息切れ、乾性咳嗽(せきの割に喀痰少ない)、発熱、呼吸困難などの症状であり、進行に伴い多呼吸、頻脈が加わる。カリニ肺炎の発症は、CD4陽性細胞(ヘルパーT細胞)、リンパ球の減少と相関関係があり、CD4陽性細胞数が1立方ミリあたり200以下になると発症の確率が高いため、ST合剤を用いるが、50~60%に薬疹などの副作用が認められるため、その際には、ペンタミジンによる予防対策を講ずる。なお、治療には、ST合剤の内服、ペンタミジンの吸入療法、または点滴療法が行われる。