エイズに特徴的なカポジ肉腫は死因となる悪性度そのものは比較的弱く、日和見感染ほど予後に及ぼす影響は強くないが、肺病変は呼吸不全の結果直接の死因となる。HIV臨床経過中に、主に紫色か黒赤色の皮膚病変で気づくことが多い。本症は免疫機能低下が軽度の時期より皮膚に頻発し、古典的なカポジ肉腫ではほとんどみられない頭部、頸部、口腔病変が高頻度にみられ、四肢、内臓など広範な部位に腫瘍がみられる。HIV感染者に生ずるカポジ肉腫は、同性愛の男性に圧倒的に多いが、その原因はいまだ究明されていない。なお、カポジ肉腫が生じるのは1980年代前半にはエイズ患者の約30%といわれていたが、最近減少傾向(約15%)にある。皮膚だけにみられるカポジ肉腫は程度によって経過観察する。内臓のカポジ肉腫は、消化管病変が高率で予後が悪いことが知られており、インターフェロン、抗がん剤、放射線治療などがある程度有効である。