真菌(カビの一種)に属するカンジダは、正常人の皮膚、口腔、消化管、膣などに常在している。通常は病原性を呈しないが、HIV感染から免疫機能の低下に伴い増殖し発症する。口腔内や食道などで病変を生じ、深部臓器を侵す深在性と、表皮、粘膜表層、爪などに病変を起こす表在性に分けられる。深在性は免疫不全に伴い、時に重篤化する。口腔カンジダ症は、エイズ関連症候群経過中に現れる早期症状の一つである。また、口腔カンジダ症はもっとも頻度が高く、咽頭、食道、気管支までに波及することが多い。なお、口腔カンジダ症例の50%以上に食道カンジダを合併しており、エイズへの進展の指標となる。食道炎では、嚥下痛、嚥下障害、胸骨後部痛などを訴えるが、抗真菌剤によるうがいや内服などが有効である。皮膚では鼠径部や外陰部にカンジダ性間擦疹をきたしたり、爪囲炎や爪炎を起こす。