結核は大正時代から昭和20年代までの長い間、「国民病」として恐れられていた。当時は年間死亡者数も十数万人に及び、死亡原因の第1位であった。医療や生活水準の向上により、薬を飲めば完治できる時代になったが、今でも日本最大の感染症である。初期症状は風邪とよく似ているが、せきや痰が2週間以上続いたら、結核を疑う。結核菌を吸い込むことによってうつる(空気感染)が、感染しても必ず発病するわけではなく、個体の免疫力とのかかわりが強い。発病しても、痰の中に結核菌を出していない軽症の場合には他人にうつす恐れはない。感染したかどうかはツベルクリン反応やレントゲン、痰の検査などで診断する。結核と診断されたときは、4種類の薬を6カ月間毎日きちんと服用すれば完治できる。日本では、社会の高齢化に伴って結核患者も高齢者の割合が増加傾向にある。若い頃に感染していた人の中から、体力・抵抗力の低下によって潜伏していた菌の活性化が起こり、発病しやすくなる。