寄生虫としてだけでなく感染症の中でも最大の感染者を有する原虫感染症。その推定感染者数は2億6700万人で年間の推定死亡者数は100万~200万人といわれている。また感染の危険にさらされていると推定される人口は10億~21億人に上るといわれる。プラスモジウム(Plasmodium)属に属する単細胞の原虫が原因となり、熱帯の全域に広くまん延しているだけでなく、温帯の多くの地域で発生している。アノフェレスという蚊によって媒介される。マラリアは流行地では当然のこと、先進国から訪れる人々も大きな危険にさらしている。さらに輸入マラリアが欧米先進国の非流行地で次第に問題となってきている。また、薬剤耐性マラリア原虫、および殺虫剤耐性媒介蚊の世界規模での拡散につれて、治療と制圧は困難になっている。感染の恐れがある場合には、クロロキン等の予防内服剤の使用が推奨されている。