病原体やその毒素液の毒を弱めたものなどを使って、感染症に対する免疫を人工的に与える免疫原のこと。弱毒生ワクチン、不活化ワクチン、成分ワクチン、リコンビナントワクチン、DNAワクチンなどがある。ウイルスに対する化学療法が困難であったのに対し、天然痘、ポリオ、麻疹など、多くのウイルス病に対し、きわめて有効な手段であった。特に天然痘は、エジプトのピラミッド時代から幾度となく大流行してきたが、ワクチンの力で1970年代の終わりにはこの地球上から撲滅された。しかし、ウイルスなら何でも効果を示すわけではない。ワクチンが有効なウイルスには「変異しにくい」「ヒトにだけ感染する」「感染したらすぐ症状が出る」「性行為感染症ではない」などの特徴がある。