いぼを起こすDNA(deoxyribonucleic acid)ウイルス。パピローマは乳頭腫ともいわれる、皮膚のいぼである。100種類以上の遺伝子型がある中で、16、18、31、33、35、45型など、約15種類のウイルス型が子宮頸がんを起こす。これらの型の感染例がすべてがんになるわけではなく、感染後10年以上の前がん状態(異形成)を経て、その一部ががんとなり、さらに転移がんとなる可能性がある。ヒトからヒトへの感染伝搬が起こり、いぼの表面にウイルスがいて、性交渉や皮膚の接触で伝搬する。ほとんどの人はパピローマウイルスに生涯中何度か感染しており、免疫作用により体から排除されている。海外で有効性が確認された16型と18型に対する予防ワクチンが、2010年から日本に導入され、使用されている。他の型のウイルス感染に対する予防効果や、16型と18型がすでに感染している人への有効性はない。すなわち前がん、ならびに、がん患者を見つけるための子宮頸がん検診は、今後も必要である。