本来は牛、羊、馬などの家畜に感染する、劇症型の細菌感染症で、病死した屍体の傷から黒い粘凋(ねんちょう)性の血液が流れ出るために炭疽(たんそ)といわれる。家畜を経由して、人にも感染する。直接の接触による皮膚炭疽、菌の吸入による肺炭疽、食物に混入した菌を食べて発症する腸炭疽がある。肺炭疽は、インフルエンザに似た症状から、数日後には呼吸困難になり死亡する。炭疽菌の大きな特徴は、芽胞というたんぱく質の殻に包まれた状態で、土の中などの栄養分がない低温環境で何年も生存できる点にある。このため生物兵器として開発され、2001 年のアメリカ同時多発テロ事件に続いて、この菌が郵便物に混入されて死者が出た事件は記憶に新しい。