エボラウイルス病の抗体治療薬。エボラウイルスによる病気は、以前はエボラ出血熱と呼ばれていたが、必ずしも出血症状を伴うわけではないので最近ではエボラウイルス病と呼ばれる。本剤はアメリカのベンチャー企業で開発され、植物利用の医薬品として有名になった。エボラウイルスの外皮糖タンパク質に対する単一の抗原部位のみを認識するモノクローナル抗体(ウイルス感染阻止抗体)のうち、c13C6、2G4、4G7の3種の組み合わせで最も高い抗ウイルス活性が得られることに着目。これらのモノクローナル抗体を、DNA組換え技術によりヒト型の抗体に変換したのち、遺伝子をタバコ属の植物に組み込んで育成、葉から抽出された抗体タンパク質成分を用いている。エボラウイルスに感染させたアカゲザルに実験投与したところ、抗ウイルス活性を発揮したことで、ヒトへの抗体薬としても期待されていた。2014年に西アフリカでエボラウイルス病が大流行した際には、アメリカに帰国させた患者に投与され、その有効性が示唆された。ただし、ZMappが単独でも本当に治療薬として有効かは議論中であり、まだその結論は得られていない。