通常は咽頭炎の原因となる溶連菌の感染によって、まれに全身の組織が破壊される壊死が起こり、ショック状態から死に至る病気。重篤な基礎疾患をほとんど持っていないにもかかわらず、突然発病することがある。壊死を起こした患部が侵食されているように見えるため、この病原菌を「人食いバクテリア」と呼ぶこともある。1999年以降、日本において明らかに増加しており、年間の発症数は250例に達しつつある。初期症状としては、四肢の疼痛、腫脹、 発熱、血圧低下などで、発病から病状の進行が急激かつ劇的で、発病後数十時間以内には軟部組織壊死、急性腎不全、呼吸困難を伴う成人型呼吸窮迫症候群、全身の臓器で出血が起きる播種性血管内凝固症候群や多臓器不全を引き起こす。きわめて重篤な病系であり、罹患者の半分は死亡する。すなわち、発症が疑われた時には迅速な診断と治療が必要であり、救急病院を受診するべきである。