寄生虫の一種である回旋糸状虫による感染症。この病原虫は熱帯地方にいるブユの体内に入って幼虫へと発育し、ブユが吸血のためヒトを刺すうちに皮膚や眼に侵入する。病原虫が眼に移動した場合は、失明に至ることが多い。ブユの多くは流れの速い川で繁殖するため、河川沿岸の住民に失明者が多く見つかったことから、河川盲目症とも呼ばれる。オンコセルカ症にきわめて有効な駆虫剤として、イベルメクチンが開発された。2015年、その開発者の一人である日本人化学者の大村智に、ノーベル医学・生理学賞が授与された。イベルメクチンは回旋糸状虫などの線虫に対し、神経や筋細胞のクロライドチャネル(Clイオンの通り道)を過剰活性化させる作用を有する。それにより、病原虫を体内から駆除することができる。