男性と女性の生理学的な差異などを考慮した医療。生物学的に見ても、男女では遺伝子、ホルモンの働きなどが異なり、男性に有効な薬が女性に害になるといったこともまれではない。年齢による差異を考慮した小児科、老年病科が存在するのと同様に、女性診療科の必要性についての研究が1980年代アメリカを中心に広がり、女性外来、女性医療センターなどが設置されるようになった。日本においても、女性外来の開設が2000年ごろより急増している。こういった女性外来設立の動きを単なる流行に終わらせてはいけないと、03年6月女性医療ネットワーク(C-ネット)という研究会が対馬ルリ子医師ら40人の医師により発足した。従来の臨床医学研究は、男性の医学データを中心に行っているものを女性にも適用することが多かったが、生物学的な男女差も考慮した医療の確立・普及を目指し、診療科を超えた連携医療の必要性を唱えている。また、最近では男性専門外来の必要性もいわれ、関西医科大学泌尿器科では02年1月から男性更年期外来を開設し、注目を浴びている。