アレルギー反応の一種で、重篤な全身性の過敏反応。免疫グロブリンであるIgEを介する反応と介さない反応があるが、いずれにしろヒスタミンやセロトニンなどの化学伝達物質を過量に放出させ、血圧低下、気道閉塞、発疹などの激しい症状を引き起こす。急激に血圧が低下し意識を失うような全身性のショック状態をアナフィラキシーショックと呼ぶ。原因として食物や薬剤、ハチ刺されなどがある。食物ではそばやピーナッツが多いが理論的には何でも起こり得る。2003年の厚生労働省の人口動態調査によれば、ハチ刺されによる死亡が24人、食物が3人、薬剤が19人となっているが実態はもっと多いと推定される。原因物質に暴露してから、数十秒から数十分以内に発症するが、その時間が短いほど重篤である。また、アレルギーの原因となる食物を摂取するだけでは発症しないが、食後2時間以内に運動をすると発症するタイプもあり、食物依存性運動誘発アナフィラキシーと呼ばれている。さらに、天然のゴム手袋などによるアナフィラキシーもあり、外科医などが本症を引き起こしたことで注目されるようになった。治療は救急専門医による一般的な救命治療を必要とするが、アナフィラキシー補助治療薬である「エピネフリン」の自己注射薬が05年3月より使えるようになった。処方できる医師は一定の講習を受けた登録医に限定され、保険適用外のため自費負担となる。