花粉を抗原として鼻粘膜や眼の結膜を中心とした場所で反応を起こす即時型アレルギー疾患。日本アレルギー協会奥田稔会長らが2002年に実施した全国疫学調査によると、花粉症の有病率は16.2%となっている。日本ではスギ花粉によるものが圧倒的に多い。くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの鼻症状と、眼のかゆみと流涙などの眼症状を主体として、生活に相当な支障を生じさせる。症状の強さは花粉の飛散量と相関するので、季節や地域などにより変化する。スギ花粉は2月から5月にかけてがピークであり、そのあとにヒノキ、カモガヤなどが続く。スギ花粉症は北海道や沖縄ではあまり見られない。逆に北海道ではシラカバによる花粉症が多い。決定的な治療法はないため、まず第一に抗原回避として、花粉にさらされないような生活上の注意が大切である。薬物治療として、シーズン1~2週前より抗アレルギー薬を医師から投与してもらうことが一般的に普及している。根本的治療として、減感作療法がある。アレルギーを起こさないような体質に変えていく方法であるが、毎週、毎月の注射が数年にわたり必要なので、現実的には困難なことが多い。環境省は、2000年に花粉症の最新科学的知見や情報を紹介する「花粉症保健指導マニュアル」を作成し、以降何度か改訂を重ねている。