患者と物理的に離れていても、インターネットなどのIT技術を用いて医療を行うことを総称して遠隔医療と呼ぶ。遠隔医療は遠隔診断と遠隔治療に分けられる。また、さらにそれぞれについて直接患者に対して診断や治療を行う場合と、担当する現場の医師を遠隔からサポートすることにより間接的に患者に関与する場合とに分類される。遠隔診断は、直接的なものとして、患者の血圧や心電図や血液や尿のデータをインターネットなどで担当の医師に送り、その病状を判断してもらうことである。間接的なものとして、例えば放射線診断医のいない病院のCT検査やMRI検査などの画像診断を、インターネットなどを通じて離れたところにいる放射線診断の専門医が行うことにより、現場の治療医の診断を支援するようなものである。遠隔治療は、治療ロボットなどを使い、遠隔地における大規模な手術などを行おうとするもので、現在はまだ実験段階といってよいであろう。また、遠隔診断の結果、患者に服薬の指示を出すことも広い意味で遠隔治療といえよう。しかし、こういった遠隔治療も、対面しての医療が基本的に整っていることが条件であり、遠隔医療が独り歩きしないことが大切である。