病診連携とは、日本の医療の品質を向上させる仕組みの一つとして、大規模な病院と小規模でかかりつけ医機能を持つ診療所が密接に連携することである。厚生省(現・厚生労働省)は1992年ごろより病診連携を推進している。診療所から病院への患者紹介の際の医学情報提供に保険点数を設定し、大病院では診療所からの紹介患者の占有率が高いほど優遇措置を受けられるようになっている。また、患者が直接大病院を受診することを制限するために、診療所からの紹介状を持参しない初診の際、自費負担部分が大きくなるような仕組みも設定されている。こういった流れを受けて、各大規模総合病院では、地域医療連絡室や病診連携室などを設けて、積極的に地域の診療所との密接な連携体制を整備する動きがここ数年急速に高まっている。また、病診連携の際に病院と診療所が共有する標準的な診断や治療のプロトコル(計画)、退院基準などを示したのが地域連携クリティカルパスである。入院から退院までの"治療計画"を示すクリティカルパスは、実際的な日程表の形に作成したものとして地域性やそれぞれの病院の事情を考慮に入れ、病院ごとに作成されていた。しかし、地域の病院と診療所の連携による地域医療の充実が期待されている現状を考えると、患者の混乱を招かないためにも、病診連携機関の間での標準的ルールを盛り込んだ連携パスを作ることが急務である。