従来の紙に記載するカルテに代わり、コンピューターの記憶装置に残すように設計されたデジタルカルテ。管理スペースが少なくて済む、病院管理または医学研究のためのデータ集計ができる、ネットワークでスタッフや院外の提携先医療機関などでの情報を共有できる、診断書、紹介状などの定型文書の自動作成などの利点が挙げられる。特に患者のデータを共有化することで受けるメリットは大きく、カルテのデジタル化については1980年代ごろからいくつかの団体、個人により提案された。最近になりインターネットの普及やデジタル記憶装置の大容量化が進み、技術的な問題は解決できるようになった。また、カルテの情報開示や病院診療所連携、遠隔医療など時代のニーズが電子カルテの登場を促し、医療法上の規制緩和もあり、電子カルテのシステムを望む声が再浮上してきた。厚生労働省は、2003年8月7日「標準的電子カルテ推進委員会」の初会合を開催し、05年5月に委員会としての考え方を最終的に取りまとめた。今後、電子カルテの普及に当たっては、プライバシーの問題、フォーマットの統一化などの大きなハードルが存在している。