低体温症は、体から失われる熱量が、代謝で生成される熱量と外部からの熱の総和を上回ったときに起こり、直腸温など中心体温が35度以下になった状態で、極めて死亡率が高い重篤な疾患である。山や海での遭難に伴うものが多いが、急性の意識障害を伴う脳血管疾患やアルコール中毒、外傷などの際にも起こりうる。36度以下では震えが始まり、判断力も低下する。32度から30度くらいになると震えも止まり、意識が混濁し始める。筋肉は硬直して心臓の機能も極端に低下する。30度以下では意識消失、心肺機能の強度の低下をきたし致命的な状態に進む。一般に震えが止まる状態になると、低体温は加速度的に進む。治療法は、軽度の場合はまず乾いた衣類、毛布などでくるみ熱産生を助け守る。温かい飲み物がよいがアルコール、カフェインは禁忌である。32度以下の低体温の治療は極めて難しく、安静、保温に心がけ、早く専門医の治療を受ける。外表面からの急速な加温は、有効でないどころか悪い影響を与えることもあるので注意が必要。