アメリカの製造業界で使われた「フォーカスド・ファクトリー」という用語を医療に当てはめた考え方。フォーカスド・ファクトリーとは「大きいことはいいことだ」という垂直統合的信条から、得意分野に絞り込み、明確で緻密な方針を持った水平的統合方式に切り替える組織改革のことをいう。1970年代のアメリカ産業界は、この組織改革により低迷から脱したといわれる。日本でも「ブティック型医療」「専門特化クリニック」などと呼ばれる診療所が誕生しつつある。アメリカ・ハーバード大学経営大学院のレジナ・E.ヘルツリンガーが2000年4月、日本語翻訳版として「医療サービス市場の勝者」を発刊し、このフォーカスド・ファクトリー型医療の優位性を主張している。昨今の「部分を診る医療」が批判され、「人間全体を診る」医療の見直しが叫ばれる現在、医療科学技術の発達に伴う技術の高度化複雑化のため対価品質を維持するためのフォーカスド・ファクトリー方式は一見相反するように見えるが、こういった考えの融合である「独立と連携」の思想が望まれる。