多くの女性において、40~50歳前後で閉経(月経の停止)に伴い女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下することが原因で、顔のほてり、全身倦怠感、多汗、抑うつ、不安といった様々な症状が出現することが知られている。これらのホルモン欠乏による症状を総称して更年期障害と呼ぶ。また、女性に比べて頻度は低いものの、近年、男性でも男性ホルモン(テストステロン)の分泌低下により同様の症状が起こりうることが分かってきた。男性の更年期障害の場合、抑うつなどの精神症状や性欲低下を高頻度に認めることが特徴で、うつ病や性機能不全といった疾患と誤診されているケースが少なくないと考えられている。診断方法はまだ確定したものはないが、血液検査における血中テストステロン低下が一つの目安になる。最近、男性更年期障害の専門外来を開いている医療機関も増えつつあり、治療としてはテストステロンの注射によるホルモン補充療法やカウンセリング、漢方薬の内服などが行われる。