頭痛、めまい、むち打ち症、自律神経失調症、ストレス症候群、うつ、慢性疲労症候群、難治更年期障害などの大部分が同一の疾患であり、頸部後筋群の異常から生じるものであるという考えから名付けられた病態。東京脳神経センターの松井孝嘉医師が提唱した疾患。頭痛や倦怠感、やる気のなさといった不定愁訴を訴える患者のうち、血液検査や画像診断の結果、異常の認められなかった場合に疑われる。頸部後筋群は、僧帽筋、頭板状筋、頭半棘筋、胸鎖乳突筋等からなるが、頸性神経筋症候群では、これらの筋群の特に上端部に異常緊張や痛みなどが見られるという特徴がある。診断は問診票、単純X線やMRIなどの画像診断、平衡機能、瞳孔検査、頸部後筋群の触診等より総合的に行われる。瞳孔検査は自律神経の状態を診断するものであり、瞳孔が開いていることも、この疾患の重要な診断基準である。触診では後頭部から頸部にかけて筋肉の緊張(硬さ)や圧痛などを診る。治療は、頸部後筋群の緊張と圧痛を緩和する薬物療法、物理療法、鍼灸療法、温熱療法等が行われる。こうした治療によって頸部後筋群の異常緊張が解消されることによって症状が改善することが報告されている。