四肢の難治性潰瘍に対して、無菌マゴット(うじ虫)を付着させることで治癒を促す治療法。糖尿病性壊死などの難治性潰瘍では切断するしか治療法がなかったが、この治療法では切断せずに治癒することが期待できる。まず、潰瘍部を生理食塩水で洗浄し、ヒロズキンバエの幼虫をガーゼとともに固定する。その後、週に2回程のガーゼ交換を行い、2~3週間で効果が現れるとされている。この治療法では、マゴットが腐敗した部位を食べて創傷を清浄化すること、マゴットの唾液に含まれる物質によって細菌感染が予防できること、これにより創傷治癒を促進させることが期待される。治療侵襲が少なく、また従来の治療法(抗生物質、外科治療)より安価であることも利点とされる。一方で、周囲皮膚への刺激、壊死血管からの出血、一部の細菌感染(緑膿菌など)といった副作用も指摘されている。イギリスでは、すでに保険医療として認可されており、年間数百人が治療を受けている。日本では岡山大学の三井秀也医師(心臓血管外科)が医師主導型臨床試験に向けた研究を行っている。