直腸下部から肛門にかけて血管が網目構造をしており、この部位の腫れを痔核と呼ぶ。いわゆる「いぼ痔」のことで、日本では非常に罹患率の高い病気。直腸の粘膜と、肛門の皮膚との境目である歯状線より直腸側にできるものが内痔核、肛門側にできるものが外痔核と呼ばれる。腫れの原因は、便秘、下痢、長時間の同じ姿勢、激しい力仕事、妊娠や出産、飲酒などであり、生活指導や投薬が治療の中心となる。数カ月間の治療でも、内痔核が肛門から脱出している状態が継続すると、手術が必要となる場合もあり、一般的には痔核に注ぐ血管をしばって、腫れた部分を切除する結紮(けっさつ)切除術が行われる。最近、内痔核を切除しないで、内痔核に直接薬剤(ALTA ; aluminum potassium sulfate and tannic acid)を注入して硬化、縮小させて治療する内痔核硬化療法も取り入れられるようになってきている。治療による痛みや精神的負担が軽く、入院期間が短期間である点が優れている一方で、効果が永続的でなく、再発する場合も多いという欠点もある。