原因の定かでない、全身の慢性疼痛を主訴とする病気。慢性疲労症候群とともに、診断治療に結びつけるための手立てがなく、多くの人が悩み苦しんできた。2010年春、国内で初の診療ガイドラインが作成され、診断治療の向上が期待されている。それによると、発病のピークは30代前半で、女性に多く、日本における患者数は200万人と推計された。診療指針では、全身を5つの部位にわけ、すべての部位で3カ月以上痛みがあることを前提に、特定された18カ所の圧痛点(痛みを感じる場所)のうち、11カ所以上で痛みが見られる場合に本症と診断されるとしている。また、痛みの程度に応じて重症度を5段階に分類。病気自体も(1)筋緊張亢進型、(2)腱付着部炎型、(3)うつ型、(4)重複型の4タイプに分類し、治療方針の目安をつけやすくした。それぞれに対し、抗てんかん薬・口腔乾燥症治療薬、抗リウマチ薬、抗うつ薬・抗不安薬、それらの組み合わせが適していると示しているが、これらは現在のところ日本の保険でも認可されておらず、決め手となる治療法でもなく今後の研究開発が期待されるところである。