食物や口腔内の残渣(ざんさ 食べかす)が気道から肺へ侵入し、それに続発して起こる肺炎。脳血管疾患や神経変性疾患、加齢などによる嚥下(えんげ)反射や咳嗽(がいそう むせ込み)反射の低下により発症する。日本では、肺炎は全死亡原因のうちの第4位、高齢者において第1位であり、この中には誤嚥性肺炎も多く含まれると考えられる。一般には高熱をともなうが、高齢者では微熱程度にとどまり、なんとなく元気がない、といった程度の症状のこともある。採血や胸部X線により診断され、急性期は主に内科で、多くは入院ののち抗生物質などで治療する。症例により、リハビリテーション科、耳鼻咽喉科、歯科での嚥下造影や嚥下内視鏡などによる機能評価、言語聴覚士による嚥下訓練などが行われる。再発予防として、投薬、食事内容(嚥下障害食やとろみ付加)や食事姿勢の指導が行われる場合がある。一般的な予防としては、口腔内の保清や嚥下体操などが有用である。原因菌の一つ、肺炎球菌へのワクチンも普及している。