小脳や脊髄を中心とした神経細胞の障害により、徐々に運動失調をきたす原因不明の神経難病の総称。うまく手足が使えない、言葉がもつれて話しにくい、などの障害が起こる。男女を問わず10万人あたり7~10人にみられ、多くは中高年で発症して緩やかに進行する。約3割は遺伝性で、残りの約7割は遺伝とは関係のない孤発性とされ、原因遺伝子がわかっている一部以外は、いまだ原因不明である。孤発性はさらに2つに分けられ、(1)小脳症状が中心となる皮質性小脳萎縮症、(2)錐体路(すいたいろ)症状やパーキンソン症状、自律神経症状を特徴とする多系統萎縮症とがある。近年では遺伝性脊髄小脳変性症の病態解明が進み、根治的な治療薬の開発が期待されているものの、現段階では対症療法が中心である。